京都三船祭り殺人事件

～京都三船祭り殺人事件～

中村由紀子は、撮影所のメイク係として忙しい日々を過ごしていた
もともとは俳優の養成所を出て女優としてスタートしたが、なかなか芽が出ず、メイク係に転身したのである

大スターの野上麗子主演の作品が嵐山で撮影することになり、由紀子も現場にかり出された
三船祭りのワンシーンで、麗子は十二単衣に身をまとい、竜頭船で舞をはじめた時である
突然、麗子の身体が傾き、そのまま川に落下してしまったのである
そのまま川に流されていく麗子の姿を一同はただただ呆然と眺めるだけであった

下流で発見された麗子の死体を調べた結果、死因は毒物によるものと判明した
麗子と恋仲だったが、最近別れ話が出ていた俳優の杉孝夫、麗子とはライバル関係だった女優の池梨花、麗子とは遺産相続問題で揉めていたという病院長を勤める義兄の大川信一郎と、動機のある容疑者たちは一同に麗子と同じ船に乗っていた

犯人は誰なのか？
公衆の面前で、どうやって麗子に毒を飲ませたのか？
捜査が行き詰るなか由紀子は、事件以来様子がおかしい大部屋女優の田中朱実が何か知っているのではないか？とマンションを訪れた
そこで発見したのは、朱実の変わり果てた姿だった…

次々と浮かび上がる意外な事実、色々な欲が渦巻く撮影所を舞台に、由紀子は自分に好意を寄せるカメラマンの竹内とともに事件の真相に迫っていく

～感想～
一人の女優の死をめぐり、撮影所で次々と起こる事件
設定はとても興味深いのだが、物語の主人公であるメイク係が、どうも事件の渦中に入ってこないというか、事件を客観的に見ているので、主人公としての役割を果たしてしないような気がしてならない
そういう意味では、色々な登場人物が出てきて、それぞれに見せ場を作っているので、主役なき群舞劇とでもいうのだろうか
なので、物語に集中しようとも、どのキャラクターに感情移入したらいいのか判らず、散漫とした感じになってしまった

という事で、私的評価は星【★★☆☆☆】２つです

この作品は連載当時のタイトル『京都嵐山殺人事件』を改題したものです

◆この原作のドラマ化作品◆
平成３年１１月２２日放送

金曜ドラマシアター
「京都三船祭り殺人事件・華やかな女優たちの謎の連続死・血塗られた撮影所の秘密とは」
出演／中村由紀子…伊藤蘭／竹内亮介…田村亮／仁科陽子…南条玲子／狩矢警部…横内正／野上麗子…蜷川有紀／池梨花…芦川よしみ／三条明…羽賀研ニ／島野よし子…山村紅葉／杉孝夫…南条弘ニ／大川信一郎…木村元／田中朱実…遠藤真理子　ほか

…ドラマの内容
中村由紀子は、太秦撮影所でメイク係として多忙な日々を送っていた
もともとは女優を目指して俳優養成所に入ったのだが、自分に才能が無いことを悟り、早々と見切りをつけたのだ
同期である陽子や朱実は、大部屋女優として続けていて、いつか売れる日を夢見ていた

異性との噂が堪えない女優の野上麗子主演の『三船まつり　たまゆらの恋』の撮影がクランクインした
この作品の相手役は当初は、一時期は結婚まで噂された杉孝夫だったが、麗子は最近三条明に鞍替えし、相手役も土壇場で三条になったのである
由紀子はメイク担当としてこの作品に携わることになった
陽子や朱実も出演者のうちの一人である

三船まつりの撮影は順調に進み、麗子が竜頭船で舞うシーンを撮影していたときのことである
突然麗子が苦しみだし、そのまま川に転落してしまったのである
騒然とする一同…

川の下流で発見された麗子の死因は毒死と判明
麗子殺害の動機を持つ人間は多い為、捜査が難航するなか、由紀子は朱実の様子がおかしいことに気づく
どうやら朱実は、麗子の事件に関して何か知っているらしい
事件のことについて話があると朱実から由紀子は呼び出されたが、待ち合わせの時間になっても朱実は現れない
胸騒ぎを覚えた由紀子は、朱実が撮影していた撮影所を訪れる
そこで由紀子が見たものは、変わり果てた朱実の死体であった…

…ドラマの感想
撮影所・芸能界の裏側が賑ゝしく描かれていて、娯楽作品として仕上がっている